ことばのくさむら

言叢社の公式ブログです

2008-01-01から1年間の記事一覧

台湾にふれて(8)〜台湾季語「年々有魚」

【年々有魚(ネンネンヨオイイ(中))】年々有余(ネンネンヨオイイ(中))・有魚(ヨオイイ(中))・年々有魚(ニイニイウヒイ) 年末年初に限って甦る吉祥語。物でも事でもないが歴(れっき)とした季語となろ う。吉祥語の濫觴は中国では後漢の代には…

台湾にふれて(7)〜台湾季語「売花」

台湾季語にとりあげられた植物名を以下に羅列してみます。 暖かい頃 おにたびらこ、兎草、オキザリス、一点紅、昭和草、一葉蘭、胡蝶蘭、報歳蘭、糸蘭、君子蘭、紅葱頭、蒜仔花、キャッサバ、満山紅、木棉花、含笑花、山桜花、苦桃、紅肉内李、仙桃、人心果 …

台湾にふれて(6)〜台湾季語「蛙釣る」

今はどうか、かつては田舎であれば、田や小川などの内水面で、筌(ウケ)をはじめとする便利な魚捕りの用具があって、大人も子どもも楽しみにどじょう、うなぎ、さまざまな淡水魚を取っていました。戦後の東京では、子どもたちはダボハゼやフナ釣り、アメリ…

台湾にふれて(5)〜「台湾季語」、外来の植物と動物

台湾は17世紀の1624年から1662年のあいだオランダ東インド会社の統治下にあり、また、その間に北部を一時スペインが掌握したこともあって、オランダ、スペインによる洋式の城塞が立てられ、その遺構が残っていたりします。オランダはプランテーションを経営…

台湾にふれて(4)〜台湾季語「湧開目」

『台湾俳句歳時記』口絵トップ頁「湧開目」 黄霊芝著『台湾俳句歳時記』の「季語」の総数は396。これを「人事」「自然・天文事象」「自然・植物」「自然・動物」の4つに事項分類し、その中を「暖かい頃」「暑い頃」「涼しい頃」「寒い頃」の4つの季節、さら…

台湾にふれて(3)〜「台湾季語」創出の背景

『台湾俳句歳時記』の巻末の文章「台湾歳時記と台湾季語」を読んでみますと、「台北俳句会」という俳人仲間の力があることを踏まえても、その中心にありつづけた黄霊芝氏がほとんど独力で台湾季語を創設したことがうかがえます。これは伝統的な「季語」に慣…

台湾にふれて(2)〜『台湾俳句歳時記』の世界

ずっと以前に、台北・故宮博物院蔵『文徴明(明代の画家)画集』の編集を依頼されて台湾を訪問したのが、この地を訪れた最初(1975年前後)。そこでお会いしたのが作家・詩人の黄霊芝氏でした。この編集の仕事を紹介してくれたのは長崎の写真家、故・原田正…

台湾に触れて(1)〜台北の草木花

台湾での生活がその文学に大きな影を落としているとおもう作家に埴谷雄高がいます。 『虚空』はポーの『メールストロームの渦』を念頭においた小説だけれど、描写の背景にあるのは台湾の高山に登った少年時の記憶でしょう。埴谷さんのどこか開放的な感覚の奥…

特性のない女―女であることの精神分析的素描

本日より、「言叢社」(げんそうしゃ)のブログを開設いたします。 こんにちは。愛知県渥美半島に住する大隣田寺先生の協力をいただき、ブログを開陳することになりましたが、なにを盛り込んだらよいかについて、とまどいがあり、ともかくも、編集者として自…